何でも、早く、すぐに成果や結果を出す時代。
利便性が第一に思われたり、スピードが常に問われ、
楽に早く良い結果に結びつけられることが良いことのようになり、
時間をかけ、苦労してすることが子どもたちの中でも少なくなりました。
もちろん便利で良い面もたくさんありますが、
一方で、その反動もあると聞きます。
スマホやパソコンが、少しでも遅いとイライラしたり…
荷物の到着が1分でも遅れるとクレームを出したり…
待てない人が増え、同時に心の余裕もなくなっているとも。
これはある方のお言葉ですが、
「教育や芸術をあつかう場面では、これらは注意すべき点だ」
ということです。
■時間をかけることの価値
教育や芸術では時間をかけ育んでいくことが大切です。
教えられて学ぶことよりも、自らが苦労し、苦悩し、挫折も経験していくことで
物事の根底にあるものを考え、自らの力でそれを脱しようとする力が湧き起こります。 自分は何に悩んでいるのだろう
何が問題で、どうすると解決できるのだろう
苦しいばかりではつまらない、だからこそ楽しく生きよう
自らの気持ちでプラスに転換していく力を発揮するのは、
教えられた時、与えられた時ではなく
むしろ本当に自分が困った時かもしれません。
人間には自己治癒力が備わっています。
自分を良くしようという向上心も生まれながらに持っています。
安易に不必要な薬を飲ませるのではなく
自分の力を信じ、湧き起こる情熱と自己治癒力を引き出していくことを
選べるような、そんな環境を子供たちには与えたいといつも思います。
■音楽、芸術は時間がかかる
音楽、芸術と呼ばれるものの本質的なところを楽しもうとすると
数年では足りません。
10年、20年、時間をかけるほど深みを増し楽しみも広がります。
よく「音符を読めるようになりたいんです。」と
来られる方も少なくないですが、
音楽の本当の楽しさは、音符の先にあります。
音符を読むとは文字を読むことと同じであり、物語の面白みを知るには
それを読み解く力と、たくさんの本に触れる経験も影響します。
同じ本を読んでも、人生経験の違う人が読んだら感じ方が違うように
同じ曲を弾いても、人生経験で演奏も変わるのです。
音楽ってすごいな。
ピアノって奥が深いな。
そんなところが楽しくて私は続けています。
すぐに分かること、できることではありませんが、
そんな風に一生かけて楽しめるもの
それが音楽なのです。
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